一次資料にもとづき掲載

厚生労働省が再生医療等提供機関に自己点検を依頼

掲載 2026-08-13

一次資料の日付 2026-07-31 / 厚生労働省医政局研究開発政策課 / 医政研発0731第1号

この記事の要約

  • 国は、細胞などを使う治療を行っている全国の医療機関に対し、自分たちのやり方が法律の決まりどおりかを自分で点検するよう求めました。
  • きっかけは、この治療を受けている最中に患者が亡くなったという報告が2件あったことです。国はすでに一部の医療機関に改善命令を出しています。
  • 点検の項目には、担当する医師にその分野の経験があるか、効果があるとする根拠の論文が条件を満たしているか、患者への説明と同意が文書で行われているか、が含まれます。

厚生労働省医政局研究開発政策課は2026年7月31日付で、再生医療等提供機関の管理者、認定再生医療等委員会の設置者、特定細胞加工物等製造事業者に宛てて「再生医療等の適切な提供に係る自己点検について(依頼)」(医政研発0731第1号)を発出しました。

発出の背景として通知に記載されている事実

  • 2025年8月および2026年3月に、再生医療等提供計画(治療)に基づく再生医療等の提供中に患者の容態が急変し、その後死亡が確認された旨の疾病等報告がなされた
  • これらを踏まえ、2026年1月および2026年7月31日に、関連する再生医療等提供機関および特定細胞加工物等製造事業者に対して改善命令が発出された
  • 7月31日発出の改善命令に係る事案では、第三者の影響力下での不適正な再生医療等の提供や特定細胞加工物等の製造の実態が認められ、法の想定しない形での提供が確認された

点検を求められている観点

別添で示された自己点検の項目のうち、治療として再生医療等を提供する場合に関わるものは次のとおりです。

実施する医師について

実施責任者および実施医師が、対象疾患と関連分野について十分な科学的知見・経験・知識を有しているか。当該再生医療等を提供するために必要な専門的知識と十分な臨床経験を有しているか。

科学的根拠について

治療計画については、有効性が安全性におけるリスクを上回ることが十分予測される根拠が、その時点での科学的水準に基づき示されているか。既存の標準治療により十分な効果が得られないことが医学的知見に照らして明らかか。

さらに、科学的根拠として挙げる引用文献が「認定再生医療等委員会の適切な審査等業務実施のためのガイダンス(手引き)」附属資料5「科学的文献チェックリスト」に合致するか——すなわち、提供しようとする治療と同一の対象疾患に対して同一の細胞等を用いて実施された、人を対象とする臨床研究であり、安全性が確認され、有効性またはその見込みが確認されたものであるかが問われています。

説明と同意について

予期される利益および不利益、同意の撤回に関する事項、他の治療法の有無と内容およびそれぞれに予期される利益・不利益を含め、文書による説明と文書による同意が取得されているか。

特定細胞加工物等の安全性について

2026年6月12日付で改正された「特定細胞加工物等の微生物学的安全性に関する指針(第2版)」等に基づき、微生物学的安全性が担保されているか。

対象となる提供計画の規模

この依頼の対象は、厚生労働大臣に提出済みの再生医療等提供計画を持つすべての提供機関です。

e-再生医療で公表されている提供計画は6,770件でした(2026年8月10日時点、当サイト集計)。種類別の内訳は第一種7件、第二種2,487件、第三種4,276件です。第一種の7件はいずれも大学病院等の公的な医療機関によるもので、治療内容はすべて同種膵島移植でした。

つまり、公表されている提供計画の大部分(6,763件)は第二種と第三種であり、自由診療として提供されるものはこの範囲に含まれます。

この情報の段階

  • 本通知は法令ではなく、課長名の依頼(通知)です。自己点検と、結果を踏まえた改善措置の実施を求めるものです
  • 再生医療等提供計画が受理・公表されていることは、当該治療の有効性が国により確認されたことを意味しません。今回の通知は、その根拠となる科学的文献の要件を改めて確認するよう求めるものです
  • 個別の改善命令の対象となった機関名は、本通知には記載されていません

出典

出典:厚生労働省「再生医療等の適切な提供に係る自己点検について(依頼)」(令和8年7月31日 医政研発0731第1号)

掲載しているのは一次資料に記載された事実です。当サイトが治療の有効性や安全性を評価するものではありません。また、特定の医療機関や医師を紹介するものではありません。